http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/dandy.html
というわけで行って来ました。
『黒い画集 第二話 寒流』1961年 鈴木英夫監督
内容を簡単に言えば、真面目銀行員良ちゃん様(妻帯者子持ち)が新珠三千代演ずる料亭の女将の美しさによろめく→平田昭彦演ずる常務に横恋慕された上銀行内の政治劇に巻き込まれて田舎に左遷→嫉妬と怒りに狂った良ちゃん様が復讐に燃えるも何をしても上司には勝てずどんどんみじめに…というところか。アテネフランセのHPの言葉を借りれば「打つ手が裏目に出て転落する主人公の姿を悪夢のように描いた不条理スリラー」。ひどいよ松本清張!
料亭の拡張及び一等地への移転を画策する新珠三千代はまるで融資してもらうためみたいに池部良様に懐くんだけど、でもわたしそんなに三千代が悪いやつに思えない。この時は本当に良ちゃん様が好きだったと思うな。
どっちかというと好き好き結婚してっていう三千代に、そっぽを向きながらせっかく重役コースが見えて来たのにそんな冒険はできないみたいなこと言う良ちゃん様の方がひでえというか、それにいつもぶっすん面で一緒にいて気が滅入りそうではあるけど体が悪い奥さん荒木道子に向かって、もしも離婚したいって言ったらお前はどうする?子どもたちはどうしたらいいだろうかなんて結構普通のトーンで聞く良ちゃん様はあの時確かにとんでもなく嫌な男だった。
それにつけてもきゃっきゃと良ちゃん様を慕う(下心があったとしても)新珠三千代のなんと美しいことよ!!こんな美しい人が生きていたなんて、神よ…
平田昭彦の、美しさも権力も手に入れた不遜な態度は映画の中だったらちょっと魅力的な程で、さもすればぼおっとした何だか頼りないような支店長(良ちゃん様)に比べると、ネ…無理矢理きめた三人のゴルフ旅行での平田昭彦の迫り方ったら!!しかも朝って!!下品!!
(しかし夜の寝姿はあまりにも端正でうっとりしました)
そして、雨が降って物憂げな雰囲気の中、酒を飲むしかない三人、見てるだけで憂鬱になりそうなところやっぱり強引に常務に「疲れたしここで三人で雑魚寝しようや三千代は真ん中で」と結構嫌な提案された後の流れ雰囲気表情は最高…美…とまさに語彙がとける美しい場面でした。
は〜「邪悪なドリカム」…
(邪悪なドリカムって何だっけ、中原昌也氏の何かで読んだような?記憶違いかな)
その後はもちろん金と権力の力で輝く常務に三千代は体を許し金を得る(しかし心は許さない約束)→順調に店の拡大を進め、浮気がばれて奥さんに自殺未遂された良ちゃん様は暢気にとしか言いようがないんだけどもうこうなったら君と結婚するしかないって三千代に言う訳だし、それに対して三千代は「自殺未遂までした奥さんがかわいそう」「そんな事件があってからあなたが鬱陶しく感じられる」「顔つきまで惨めに見えて来た」「自分より惨めな男とは付き合えない」と結構散々な言いよう。だけど言葉がきついだけで、そりゃそ〜だべと思いますけどね…
その後の良ちゃん様の受難と復讐の日々については辛いので割愛します…完全なる勧善懲悪ドラマが流行ってる昨今、なんと言うか、視聴者は楽がしたいんだな〜ってちょっと思ってた節があったけど、こればかりはドキドキ騒ぐ胸を押さえながら、次こそうまく行ってくれ…状況ひっくり返ってくれ…と祈りながら観ていました。
宮口精二、あなただけが、あなただけが…!!(号泣)
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