2020年8月23日日曜日

今年の夏休み

 変な夏休みだ。実家にも帰れないし旅行にも行けない嫌な夏。外でウイルスが付着するかもしれないと思うとお洒落もしたくなくなるし何しろクラクラするほど暑いし、だけども目の前がパーっと真っ白に見える夏の風景を少しでも見たくて、少しだけお出かけした。変な夏の記録です。


8/6
弥生美術館へ、水森亜土ちゃんの展示を見に。まさにいつみてもラブリー!!可愛すぎて溶けそう。母も亜土ちゃんの大ファンでグッズを集めてたらしいんだけど、まさに母世代の女性がキャッキャ言いながら展示を見ていた。母も連れてこられたらいいのにな。上野公園を歩きながら母に電話。上野公園の蓮の花、まだすこ〜しだけ残っている。来年こそ、花盛りの頃に見に行かなくちゃ。
Sへのお土産に、上野駅で長野産のとうもろこしとケールを購入。とうもろこしのなんと甘いこと!!もう一本買えば良かった。



8/11
日本橋へ、宝塚宙組『フライングサパ』のライビュを見に。
なんとなく、真夏には一度は日本橋に行きたくなる。暑くて街が真っ白になるあの感じを見るには日本橋が一番。ここもあそこも寄りたくなるけども、とはいえやっぱり暑くてくたくた。
フライングサパはあまりにも好みであり上田久美子先生及び宙組生への尊敬を新たにした。本当に素晴らしかった…上演後のご挨拶でトップの真風が我慢するも涙がブワッと出てしまい、いつも完全にかっこよくクールな彼女の子どものような泣き顔にこっちも胸が痛く大泣きしてしまう。この状況下でどれほどプレッシャーだったんだろう。ゆっくり休んで、東京に来てください。どうかどうか、みんなお元気で!祈るような気持ち。チケット取れたらいいなあ…

8/13
ラピュタ阿佐谷へ『血と砂』を見に。出がけにSに「あんなに悲しい映画を見に行くの?」と言われ、一瞬怯む。
いつも若い弱い立場のものに優しい三船敏郎の役どころが、伝え聞く三船本人と全く同じようだ。何度も何度も、戦争というのはずるくて汚いものなんだ、と繰り返すのが岡本喜八監督の思いそのものであり、切なく苦しい。
年若い兵隊が敵前逃亡の罪で殺され、それに対し軍楽隊の子どもたちが聖者の行進でお弔いをする様子に、こういう時は海行かばだろう!と怒られたことに対して、海行かばでは寂しすぎる、と抗議する三船が悲しく一番心に残った。軍楽隊の子どもたちも戦争の最前線に送られるその逼迫した破れかぶれな感じ。穏やかで優しい伊藤雄之助も、争いが嫌な天本英世もとっても切なかった。「お前は人を殺したいのか?」「殺したくはないけど、殺されそうになったら頑張って殺すだろうね…多分」この会話の悲しいことったら。
こんなに野蛮で狂ってて馬鹿の極みのようなことが起こっていたのがたったの75年前であることが恐ろしい。
コメディ映画の側面もある、し、実際観客のおじいさんたちは結構ゲラゲラ笑っていたが、何を見ても悲しく私はほぼずっと泣いていた。
そして佐藤允はあまりにもニヒルでかっこよく、もはや「なりたい」!!
買いそびれていた『その男、佐藤允』を購入し(表紙なんてかっこいいの!)、なんとなく思いつきで東京ジャーミイへ。夏のうちに見学したくなったのだ。


あまりの美しさに呆然。イスラム教についての知識がほぼゼロだが興味が湧いた。ハラルフードについても知りたい!
売店にはハラルフードやスパイス、お茶や化粧品、ちょっとしたお土産などがたくさんあり、なんだかちょっと海外旅行に来たような気分に錯覚できて幸福だった。ああ、どこか旅行に行きたい!!!できればあまり知らないところへ行きたいな。
トルコのチョコ、アレッポの石鹸、パン、ポーチなど購入。

8/15
義姉の発案で軽井沢へドライブに。義母とSは難色を示しており、まあそれには全く賛同、ではあるが甲信越地方憧れが加速している私はごめんなさいと思いつつも楽しみであった。
群馬に入ると植物の色味さえ変わって見える。私以外の人々は軽井沢に通い慣れているため割合冷静だが、私は叫び出しそうに嬉しい。子どもの頃遊びに来た時の青リンゴの匂いとか水辺の感じとか覚えている。兄の結婚式で来た時もみんなでペンションに泊まってとっても楽しかったし、軽井沢はいつでもピカピカに楽しい特別な場所だ。
宿泊するのはちょっとまだやめたほうがいいよね、ということで日帰りだったためバタバタ忙しなかったがそれでも東京では見られないような風景の中でただたっているだけで嬉しかった。
シャインマスカット、桃、オブセ牛乳、とうもろこし、野沢菜漬けを自分たちのお土産に、実家へのお土産として丸山珈琲のコーヒー豆、蕎麦茶、黒豆茶を買う。シャインマスカットは脳が痺れる美味しさ。桃はウーム、今年食べる桃今のとこ全部ちょっと不発気味かもしれない。長雨のせいだろう。
晩ごはんように買って自宅で食べた峠の釜飯も大変おいしいでした。可愛くってつい、釜をとっている。何に使おうかな。


8/17
友人と恒例おしゃべり会。お喋りしたり考察したりしたい事案が多すぎて脳がこんがらがり、固有名詞が出てこなかったり話があちこちに飛んだりやっぱり定期的にアウトプットするって大事よね〜…と言い合う。
その後雅叙園の百段階段へ。エレベーターの螺鈿細工からして豪華で痺れる!全然似てないのにどうしても去年まで実家で威張っていたチワワを思い出す。何かいっつも偉そうな得意そうな顔だったのだ。





このお部屋でずーっとぼおっとしたり本読んだりしてたいよね〜!!て言い合うお部屋や、このお部屋にされたら迫力があって怖すぎるため夜寝られない…てお部屋があり。
今は不景気だし、機能性がまず優先されるからこんな建築物を作るなんてことまずないだろう。そう思うと職人の技術って変化するし途絶えてしまうのだろうし、あまりにもったいなくて気が遠くなる。
何よりこんなに美しいものが戦争で燃えなくて本当に良かったな。


その後友人と別れ、庭園美術館へ。年に一度の建物公開展、これが好きで定期的に来てしまう。何度見ても新鮮に美しさにぶっ倒れそうになるのです。
1930年というと、先ほど贅の限りを尽くした雅叙園の百段階段と同じ時代だ。近くにありながらこんなに趣向の違う美しい建築物が作られたのか〜…


何度見ても美しさに見惚れてしまう。こんな美しいものがご自宅にあるなんて!!キャー!

不思議なお召し物が気になるな。お帽子かわいい。かぶってみたいよ。



は!!?もう何なの?!!ってくらいどこを向いてもかわいいんですが!!??
ルネ・ラリックのパイナップルとざくろシャンデリア、可愛すぎてもう、もう…


8/18
自分の中の夏の儀式と化している「小川軒で桃パイ買う」と、「ベジタリアンでスイカジュース飲む」をこの夏まだしてないじゃん!と思い出し、新橋へ。スイカジュースはなかったためグレープフルーツジュースを一気飲み。小川軒で桃パイとマンゴーパイを買ってほっと帰宅。地味だけど、自分にとっては大事な一日。



2020年8月1日土曜日

映画館と劇場

シアタークリエ『SHOW-ISMS』のチケットが手に入ってずっと、嬉しいけど本当に劇場に行って大丈夫…?って不安だった。正確にいうと、舞台に行くことで周囲に白い目で見られることや、万が一罹患した場合自分の生活行動をいちいち報告しなければいけない恐怖と周囲の人にうつしてしまう可能性の恐怖。
行かないとしても、支払ったチケット代は東宝への募金と思えば全然オッケー!て感じなんだけど、やっぱりどうしても観たかったのでした。美弥ちゃんのクリエデビューを見届けたいのもあるし、そもそも生の観劇に飢えすぎていた。もう心がカチカチになってる感じで。なので、結構ギリギリに出来る限りの対策をして劇場に行くことを決めた。

当日は東京宝塚で星組初日のおめでたい日でもあった。
星モチーフのアクセサリーをつけて、お洋服だって新調したお洋服をおろして久々にお洒落して。大泣きしていいように吸水性の良いハンカチにしたほうがいいかな…なんてこの感覚、久しぶりでもうそれだけでめちゃくちゃ楽しくなってしまう。

せっかくならもう詰め込んじゃおってことでまずTOHOシネマズ日比谷に。
ここから見える日比谷公園の景色って好きだな。この日はぼおっと曇って鈍い色だ。ミニオンは元気そう。


福岡にいた頃は観劇もするしイベントにも行くし差し入れもしちゃう程度には大ファン!だったんですが、東京に来てから興味があちこちに湧いちゃって忙しくなっちゃってちゃんと追っかけられてなかったヨーロッパ企画。公演に気づいた頃にはもうチケット完売、みたいな。
わ〜久々に観てみよう!評判も良さげ〜!って感じの軽やかさだったのですが(あと、やっぱこういう状況下で「劇団」にお金を微々たるもんですが使いたいなって思って)。
これがもうめちゃくちゃに面白くって、そうだった〜〜〜私!!こういうヨーロッパ企画の感じがめっちゃ好きだったんじゃん〜〜〜!!!てガツンと来ました。設定自体はめっちゃ緻密で複雑、制作も相当大変だと思うんだけど、観てる間はそれを忘れちゃってずーっとクスクスおかしい感じ。どこかすっとぼけてて、だけど余韻がいつまでもめっちゃたなびいてる感じ〜〜!!!アアア〜〜〜!!!そうでした〜〜参りました〜〜〜真面目に追っかけさせてください!!!て思っちゃいましたね…あと、曲の使い方も最高ですよね。主題歌とっても素敵だったし!
次回のヨーロッパ企画の舞台、とっても楽しみ。いつになったら観られるのかな。

興奮しきったままランチしに、ストーンへ。お店の人はマスクオンフェイスガード。飲食業の方、怖いよね…開けてくださってありがとうございます。おかげで憩えるし頭も冷やせます。
最近外で読むのは有吉佐和子の『処女連禱』。なんかこればっかりカバンに入れがち。この小説が読みやすいテンション、というかそういうのどう説明したらいいの?

舞台の時間まで色々お買い物していざクリエ。
クリエ、初めてだったのでどんな劇場なんだろう?楽しみ〜!とワクワク足を踏み入れたんですが、スタッフの方が大勢見回りされており、劇場でのグッズ販売もなし、例えばちょっとしたフォトスポットになりそうな箇所もなく(これは普段から??)静かに緊張感が張り巡らされてる感じ。今舞台の幕を開けるってこんなに大変なことなんだなあと改めて感じた。
椅子に座っただけで感激して泣いちゃうかも!って思ってたけど、緊張感の方がまさっていた。でも、流石に開幕して劇場にキャストが出てきて光が当たった瞬間にダーっと涙が出てきた。生ってすごい。相当恐怖があっただろうに、準備も大変だろうに(現に一回ものすごい突然休演になったしね…)それを乗り越えて舞台に立ってるんだと思うともう胸がいっぱいで。
内容は以前中止になった『マトリョーシカ』を再構築して短縮したもの、なのかな?
コロナ渦の夜間学校に通う大人たち(それぞれ、学習障害や貧困、DVなど問題を抱えている大人)と、バンビ先生こと美弥ちゃんのお話。
時間が短い上に、みんなの事情がそれぞれ複雑なため、詰め込みすぎじゃない…?とか、そんなすぐ解決を…?とか突っ込みどころももちろんあるんですよ。あるんだけど、でも、問題を抱えて鬱屈としていた人たちが頑張って言いたいことを言い、歌いたい歌を歌う様になる様子(のりちゃんのソーラン節〜!!)はもうさ…そんなの…
そして基本クールでミステリアスなバンビ先生が指揮をしたり歌ったりするときはめちゃくちゃエモーショナルになるのもさ…生徒が帰るときに「大丈夫?」「気をつけてね」っ声かけるとこ、ものすごく優しく響くしさ…はあ本当吸水性の良いハンカチ持っていってて良かった。もうだいたい泣いてた。
美弥ちゃんの存在感と演技って本当に素晴らしい。やっぱり舞台でずっと観ていたい。

何よりジャストナウって感じの題材で(最初はリモート授業。スマホがないので受けられない人いるのも胸が痛い…)お芝居作って演じて、ってそのスピード感に感動した。演劇ってすごいんだな。


最後にキャストが揃ってご挨拶されるときに、「漕げよマイケル」のメロディに乗せて、みんなありがとう、来てくれてありがとう、舞台ができて良かったハレルヤ!、みたいなメッセージを歌ってらしたんだけど、もうそこで嗚咽漏らしそうなくらい泣いちゃって、改めてずっと怖かったしいろんなことに怒りっぱなしだし緊張感とけないし、私ずっと辛かった、ってのを思い起こしたし、その硬い気持ちが溶けてくみたいに感じた。そして本当に今日は幕を開けてくれてありがとう、舞台を観られて良かった、ハレルヤ!と思えた。
オンオン泣いてたら、ご挨拶の美弥ちゃんがいつものフワ〜っとしたチャーミングすぎる美弥ちゃんでまたそれがえ〜んなんつーか掛け替えのない今〜〜!!!て感じがして泣きながら笑ってしまった。

エンターテインメントのおかげで正気を保ててる。本当にありがとうございます。

(とはいえ、家に帰る頃には膨れ上がった東京の感染者数と、それなのに政府がマスクや消毒液の転売規制解除に乗り出しているという最悪な上にまじで意味がわからないニュースが飛び込んできて、現実はほんの少しの間だけでも楽しい気持ちのままで居させてくれないのだ…とゲンナリしてしまったのだけど。せっかくきれいになった心速攻で濁らせないで欲しい…)



今年の夏休み

 変な夏休みだ。実家にも帰れないし旅行にも行けない嫌な夏。外でウイルスが付着するかもしれないと思うとお洒落もしたくなくなるし何しろクラクラするほど暑いし、だけども目の前がパーっと真っ白に見える夏の風景を少しでも見たくて、少しだけお出かけした。変な夏の記録です。 8/6 弥生美術館...