2019年8月5日月曜日

いとはん〜〜

観なくちゃ観なくちゃ、と思いながら数年経ってようやく!

『いとはん物語』 1957年 大映 伊藤大輔監督


あの世界で一番立派で美しい猫みたいな人こと京マチ子がメイクでオカメないとはんを演ずるという…

オカメのいとはんはお祭りの日、好きな人のことを神様にそっとお祈りしてるだけなのに、大店のいとはんってことで目立つこともあって、最悪ボンクラ男どもに囲まれてオカメ、醜女と囃し立てられるのですナ…そしてそこに「おい!失礼だろ!」と駆け寄ってくるのはもちろん愛しい人、友七(鶴田浩二)ですね。貴様らなぞ浩二にボコボコにされればいいんだ!頑張って〜〜〜えーーん!!て泣きべその気持ちで映画はスタートだ。てかまじでなんなのだあの男どもは。私がお嘉津(マチ子)ならお金の力でねちっこい復讐をするところですが、お嘉津は心が清らかだからそんなことしないし、もうそうやってバカにされるのは慣れっこなのだという態度だ。

そんなお嘉津を不憫に思った母親が友七との縁談をまとめようとするが…というのがストーリーなんですが、とにかくお嘉津の可愛らしさと不憫さで胸が苦しかった。思わぬ縁談話にパニックになったり、臆したり、鏡に映るオカメ顔に目を背けたくなるけど、眉・鼻・口元を手で隠せば(そのパーツをマチ子はオカメ風にメイクしているのです)綺麗じゃないかと嬉しくなったり、友七が育ててる菊に水をまきまくったり、髪型をおしゃれにしてみたり、全部がはちゃめちゃに可愛いのだ。可愛くて、切ないの。
二人の新婚旅行を夢に見るんだけど、夢の中のお嘉津は京マチ子であって、それはもう本当になんというかビロードのようなとろけそうな美しさであって、それもまた悲しくなっちゃう。
今、もし目の前にお嘉津がいたら、そのままのお顔でチャーミングだし、もし眉の形が気になるなら一緒に研究して眉描こ!結婚も別に。だって歌と踊りの名手でしょう、て言いたいけど、お嘉津は自分の顔について刷り込みがあるし、それこそこんな顔に産んですまないと母親に泣かれるほどですから、それに結婚したいのだ。結婚したお友達をそおっと羨んでしまうんだ。ぽっと出の私が何を言ったって気持ちが軽くなりはしないだろう。それでも根気強く言いたいけど…

ところで、お嘉津の清らかな優しさを知っているだけに辛い思いをする女中のお八重さんを演ずるのは小野道子。面長でおっとりした上品な顔立ち、とても素敵だな〜と思って調べたら長谷川一夫のお嬢さんで宝塚38期首席入団ということが分かってさらにときめきました。



それにしても平日午前中の恵比寿ガーデンシネマ、ピカピカにきれいでウットリしちゃった。

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